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AppSync + Serverless Frameworkによるソースコードの構成管理

2019/03/03
AppSync

なにこれ

AWSのGraphQLマネージドサービス「AppSync」はGUIで簡単に設定ができて便利ですが、 本格的に開発を進めていくとGUIポチポチでソースコードを管理するのはつらくなってきます。 Serverless Frameworkというツールとserverless-appsync-plugin(Serverless Frameworkのプラグイン)を使うと、AppSyncの設定をymlファイルで管理し、CLIでAWS上にデプロイできるので、GitHub等で構成管理が可能になります。 今回はAppSyncからDynamoDBのユーザー情報を1件取得する場合を例にしてAppSync + Serverless Frameworkの使い方をご紹介します。

image

  1. 🔰 Serverless Frameworkの設定
  2. 💪 プロジェクトのひな型作成
  3. 📝 設定ファイル作成
  4. 💖 リゾルバー作成
  5. 💎 スキーマ作成
  6. 🎊 AWSにデプロイ

1. Serverless Frameworkの設定

  • Serverless Frameworkはnpmで提供されるCLIツールです。まずはnpmでインストールします。
npm i -g serverless
  • クレデンシャルを設定します(事前にIAMでユーザを作成しておいてください)
serverless config credentials --provider aws --key AKIAIOSFODNN7EXAMPLE --secret wJalrXUtnFEMI/K7MDENG/bPxRfiCYEXAMPLEKEY

※詳細:Serverless Framework - AWS Lambda Guide - Credentials

2. プロジェクトのひな型作成

プロジェクトのひな型を作ります。 Serverless FrameworkでAppSync資産を扱えるように、serverless-appsync-pluginaws-sdkをインストールします。

mkdir appsync-sample-with-serverless
cd appsync-sample-with-serverless
npm init -y
npm i serverless-appsync-plugin aws-sdk

3. 設定ファイル作成

プロジェクト直下にServerless Frameworkの設定ファイルserverless.ymlを作ります。
※ここではserverless.ymlの全量を示して、次のセクションでブロックごとに詳細を説明します。

serverless.yml
# サービス名
service: appsync-sample-with-serverless
provider:
  name: aws
  # ステージ、デプロイ先を開発、運用などで分けたい場合はココを切り替えます
  stage: production
  # デプロイ先のリージョンです
  region: ap-northeast-1
# AppSyncのプラグインを指定します
plugins:
  - serverless-appsync-plugin
# プラグイン関連の設定はcustomで行います
custom:
  # ここでAppSyncの設定を行います
  appSync:
    # エンドポイントの名前を指定します
    name: appsync-serverless-sample
    # AppSyncの認証方法を指定します
    # ここではCognitoによる認証方法を指定しています
    authenticationType: AMAZON_COGNITO_USER_POOLS
    # Cogtnitoによる認証方法の場合、Cognito側の情報を指定する必要があります
    userPoolConfig:
      # Cognitoが存在するリージョンを指定します
      # デフォルトだとproviderのregionで指定した値になります
      awsRegion: ap-northeast-1
      # CognitoのユーザープールのIDを指定します
      userPoolId: ap-northeast-1_U0e7zFRLQ
      # スキーマ定義で認証設定が記述されていない場合の挙動を指定します
      # DENYを指定すると、認証されたいかなるユーザーも認可エラーに倒します
      defaultAction: DENY
    # AppSyncのスキーマ定義ファイルのパスを指定します
    # デフォルトだとschema.graphqlです
    schema: schema.graphql
    # データソースを指定します(複数指定可能)
    dataSources:
      # データソースの型を指定します
      # 以下が指定できます
      # AMAZON_DYNAMODB ・・・DynamoDB
      # AMAZON_ELASTICSEARCH ・・・Elasticsearch
      # AWS_LAMBDA ・・・Lambda関数
      - type: AMAZON_DYNAMODB
        # データソース名を指定します
        name: dynamo_user
        # DynamoDBのテーブルの説明を指定します
        description: 'ユーザー情報テーブル'
        config:
          # 参照するテーブル名を指定します
          tableName: dynamo_user
          # データソースのロールARNを指定します
          serviceRoleArn: arn:aws:iam::999999999999:role/sample_role_arn
          # データソースのリージョンを指定します
          # デフォルトだとproviderのregionで指定した値になります
          region: ap-northeast-1
    # マッピングテンプレートのVTLファイルの格納先を指定します
    # デフォルトはmapping-templatesです
    mappingTemplatesLocation: mapping-templates
    # リゾルバー定義を指定します
    # ※ここではPipeline Resolverの例を示します
    mappingTemplates:
        # リゾルバーの方を指定します
      - type: Query
        # リゾルバーを紐づけるスキーマ中のフィールド名を指定します
        field: user
        # Pipeline Resolverを使い場合、以下を指定します
        kind: PIPELINE
        # リクエストマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        # ファイルパスはmappingTemplatesLocationで指定したパスからの相対パスになります
        request: 'start.vtl'
        # レスポンスマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        response: 'end.vtl'
        # リゾルバーで使う関数を実行順に指定します
        functions:
          - GetUser
    # 関数定義を指定します
    functionConfigurations:
        # ユーザー一覧取得
        # 関数で扱うデータソース名を指定します
      - dataSource: dynamo_user
        # 関数名を指定します
        name: 'GetUser'
        # 関数のリクエストマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        # ファイルパスはmappingTemplatesLocationで指定したパスからの相対パスになります
        request: 'GetUser.req.vtl'
        # 関数のレスポンスマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        response: 'GetUser.res.vtl'

以下で、serverless.ymlに定義したプロパティがAWSコンソール上のどの項目に紐づくかを説明します。

AppSyncの基本設定

serverless.ymlからAppSyncの基本設定を抜粋
  # ここでAppSyncの設定を行います
  appSync:
    # エンドポイントの名前を指定します
    name: appsync-serverless-sample
    # AppSyncの認証方法を指定します
    # ここではCognitoによる認証方法を指定しています
    authenticationType: AMAZON_COGNITO_USER_POOLS
    # Cogtnitoによる認証方法の場合、Cognito側の情報を指定する必要があります
    userPoolConfig:
      # Cognitoが存在するリージョンを指定します
      # デフォルトだとproviderのregionで指定した値になります
      awsRegion: ap-northeast-1
      # CognitoのユーザープールのIDを指定します
      userPoolId: ap-northeast-1_U0e7zFRLQ
      # スキーマ定義で認証設定が記述されていない場合の挙動を指定します
      # DENYを指定すると、認証されたいかなるユーザーも認可エラーに倒します
      defaultAction: DENY

AWSコンソールのAppSyncの画面で、エンドポイント一覧が表示されます。 serverless.ymlで定義したエンドポイント名はココで確認できます。 appsync gui main 1

エンドポイントの画面を開きSettingsを確認するとuserPoolConfigなどの詳細が確認できます。 ほぼserverless.ymlのプロパティ名と一致しているので、なんとなく紐づけがわかると思います。

appsync gui main 2

データソース定義

serverless.ymlからデータソース定義を抜粋
    # データソースを指定します(複数指定可能)
    dataSources:
      # データソースの型を指定します
      # 以下が指定できます
      # AMAZON_DYNAMODB ・・・DynamoDB
      # AMAZON_ELASTICSEARCH ・・・Elasticsearch
      # AWS_LAMBDA ・・・Lambda関数
      - type: AMAZON_DYNAMODB
        # データソース名を指定します
        name: dynamo_user
        # DynamoDBのテーブルの説明を指定します
        description: 'ユーザー情報テーブル'
        config:
          # 参照するテーブル名を指定します
          tableName: dynamo_user
          # データソースのロールARNを指定します
          serviceRoleArn: arn:aws:iam::999999999999:role/sample_role_arn
          # データソースのリージョンを指定します
          # デフォルトだとproviderのregionで指定した値になります
          region: ap-northeast-1

エンドポイントの画面を開きData Sourcesを確認すると データソースが一覧表示されるので、一覧から今回serverless.ymlに定義したデータソースを選択すると、以下のように詳細が確認できます。

appsync gui datasource

リゾルバー定義

serverless.ymlからリゾルバー定義を抜粋
    # リゾルバー定義を指定します
    # ※ここではPipeline Resolverの例を示します
    mappingTemplates:
        # リゾルバーの方を指定します
      - type: Query
        # リゾルバーを紐づけるスキーマ中のフィールド名を指定します
        field: user
        # Pipeline Resolverを使い場合、以下を指定します
        kind: PIPELINE
        # リクエストマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        # ファイルパスはmappingTemplatesLocationで指定したパスからの相対パスになります
        request: 'start.vtl'
        # レスポンスマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        response: 'end.vtl'
        # リゾルバーで使う関数を実行順に指定します
        functions:
          - GetUser

リゾルバー定義は、エンドポイントの画面を開きSchemaを確認します。 今回はuserというフィールド名のクエリに対してリゾルバーを割り当てているので、右側のペインで以下のように確認できます。

appsync gui resolver

上記画面のPipelineのリンクを開くとリゾルバーの詳細が確認できます。

appsync gui resolver 2

関数定義

serverless.ymlから関数定義を抜粋
    # 関数定義を指定します
    functionConfigurations:
        # ユーザー一覧取得
        # 関数で扱うデータソース名を指定します
      - dataSource: dynamo_user
        # 関数名を指定します
        name: 'GetUser'
        # 関数のリクエストマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        # ファイルパスはmappingTemplatesLocationで指定したパスからの相対パスになります
        request: 'GetUser.req.vtl'
        # 関数のレスポンスマッピングテンプレートのファイルパスを指定します
        response: 'GetUser.res.vtl'

関数定義は、エンドポイントの画面を開きFunctionsを確認します。 関数が一覧表示されるので、一覧から今回serverless.ymlに定義した関数を選択すると、以下のように詳細が確認できます。 appsync gui function


設定ファイルの説明は以上です。次にリゾルバーとスキーマの定義について説明します。

4. リゾルバー作成

mapping-templatesフォルダを作成し、その中にリクエストマッピングテンプレートとレスポンスマッピングテンプレートを作成します。

PipelineResolver用のマッピングテンプレート

mapping-templates/start.vtl
{}

PipelineResolver用のマッピングテンプレート

mapping-templates/end.vtl
$util.toJson($ctx.result)

ユーザー1件取得用の関数ではDynamoDBのGetItemを呼び出します。

mapping-templates/GetUser.req.vtl
{
    "version": "2018-05-29",
    "operation": "GetItem",
    "key": {
        "id": $util.dynamodb.toDynamoDBJson($ctx.args.id),
    }
}

取得情報をレスポンスにて返却します。

mapping-templates/GetUser.res.vtl
#if($ctx.error)
  $util.error($ctx.error.message, $ctx.error.type)
#end

#set($res = { "user": $ctx.result })
$util.toJson($res)

5. スキーマ作成

ユーザー情報(ID、名前)を1件検索するだけのシンプルなスキーマ定義です。 serverless.ymlschemaで指定した通り、プロジェクトルートにschema.graphqlファイルを作成します。

schema.graphql
type User {
    id: ID!
    name: String
}

type UserResponse {
  user: User
}

input GetUserInput {
  id: ID!
}

# ユーザー1件取得type Query {    user(id: ID!): UserResponse}

6. AWSにデプロイ

以下コマンドを実行します。とても簡単にデプロイできます。

serverless deploy -v

まとめ

今回はAppSync + Serverless FrameworkによるAppSync資産の構成管理についてご紹介しました。 複数人開発においてGUI操作の場合、意図せず変更が加えられてデグレするリスクがあるので、Serverless Frameworkを使って構成管理するのが得策です。 またServerless Frameworkの利点はなんといっても1コマンドでAWSにデプロイという手軽さです。 AppSync資産だけでなく、Lambdaや他資産もServerless Frameworkで管理できるので、AWSでサーバーレスなアプリを開発するときは是非使ってみてください🍅

参考

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