直線 ax+by+c=0 の法線ベクトルは (a,b)(a,b,c はスカラーの係数)、媒介変数表示 x=x0+αt, y=y0+βt の方向ベクトルは (α,β) である。
1. 平行・直交の必要十分条件
問題 媒介変数 t によって x=x0+αt, y=y0+βt と表される直線と、方程式 ax+by=c で表される直線とが平行(一致する場合も含む)であるための必要十分条件、直交するための必要十分条件を、それぞれ係数 α,β,a,b によって表せ。
解答 前者の方向ベクトルは (α,β)、後者の法線ベクトルは (a,b)。
平行(一致を含む)⟺ 方向 (α,β) が法線 (a,b) に垂直:
aα+bβ=0
直交 ⟺ 方向 (α,β) が法線 (a,b) に平行:
αb−βa=0(すなわち α:β=a:b)
2. 2直線の交角の余弦
問題 2直線 3x−2y=5, 4x+2y=1 の交角 θ の余弦の値を求めよ。
解答 法線ベクトルを n1=(3,−2), n2=(4,2) とすると
n1⋅n2=12−4=8,∣n1∣=13,∣n2∣=25
交角の余弦は
cosθ=∣n1∣∣n2∣∣n1⋅n2∣=2658=654=65465
3. ベクトル方程式 (1.17) と方程式 (1.23) の一致
問題 ∣a∣=∣b∣=0, a=b のとき、ベクトル方程式 (1.17) x=t(a+b) で表される直線と、方程式 (1.23) (a−b)⋅x=0 で表される直線とが一致することを、計算によって確かめよ。
解答 (1.17) の x=t(a+b) を (1.23) の左辺に代入すると
(a−b)⋅x=t(a−b)⋅(a+b)=t(∣a∣2−∣b∣2)
∣a∣=∣b∣ より ∣a∣2−∣b∣2=0 だから、すべての t で
(a−b)⋅x=0
となり、(1.17) 上の点はすべて (1.23) を満たす。
逆に、a=b なので a−b=0、よって (1.23) は原点を通る 1 本の直線を表す。(1.17) も原点を通り方向ベクトル a+b の直線で、その方向は上の計算により (1.23) 上にある。原点を通る直線は 1 つの方向で定まるから、両者は同一の直線である。
∴ (1.17) と (1.23) は同じ直線を表す■
核心は (a−b)⋅(a+b)=∣a∣2−∣b∣2 が ∣a∣=∣b∣ のとき 0 になること。幾何的には「2等分線の方向 a+b が法線 a−b と直交する」ことを表す。
4. ∠AOB の2等分線の方程式
問題 一般に ∠AOB の 2 等分線の方程式は
(∣a∣a−∣b∣b)⋅x=0
で与えられることを示せ。ただし O は座標原点、a=OA, b=OB である。
解答 単位ベクトルを a^=∣a∣a, b^=∣b∣b とする。点 x が ∠AOB の 2 等分線上にあることは、x が OA,OB と等しい角をなすこと、すなわち
a^⋅∣x∣x=b^⋅∣x∣x
と同値である。分母を払うと a^⋅x=b^⋅x、すなわち
(a^−b^)⋅x=0⟺(∣a∣a−∣b∣b)⋅x=0■
(2 等分線の方向は a^+b^ であり、∣a^∣=∣b^∣=1 より (a^+b^)⊥(a^−b^)。よって a^−b^ が法線になる。)
5. ∠ABC の2等分線の方程式
問題 A(13,7), B(1,2), C(−2,6) のとき、∠ABC の 2 等分線の方程式を求めよ。
解答 頂点は B。問 4 を原点 O→B に置き換えて用いる。
BA=(12,5), ∣BA∣=13,BC=(−3,4), ∣BC∣=5
法線ベクトルは
∣BA∣BA−∣BC∣BC=(1312+53, 135−54)=(6599, −6527)∥(11,−3)
これを法線とし B(1,2) を通る直線は
11(x−1)−3(y−2)=0⟹11x−3y=5
(検算: B(1,2) で 11−6=5。)
6. 点と直線の距離・垂線の足
問題 方程式 ax+by+c=0 で表される直線 l に点 P(x0,y0) から下した垂線の足 Q(x′,y′) は
x′=x0−a2+b2ax0+by0+ca,y′=y0−a2+b2ax0+by0+cb
で与えられ、垂線 PQ の長さ(P から l までの距離)は a2+b2∣ax0+by0+c∣ で与えられることを示せ。
解答 l の法線ベクトルは (a,b)。垂線の足を Q=P−t(a,b) とおき、Q が l 上にある条件から t を定める。
a(x0−ta)+b(y0−tb)+c=0⟹t=a2+b2ax0+by0+c
これを Q=(x0−ta, y0−tb) に代入して
x′=x0−a2+b2ax0+by0+ca,y′=y0−a2+b2ax0+by0+cb■
垂線の長さは ∣PQ∣=∣t∣∣(a,b)∣=∣t∣a2+b2 だから
PQ=a2+b2∣ax0+by0+c∣■
7. 垂線の足と長さの計算
問題 原点から次の各直線に下した垂線の足の座標、およびその垂線の長さを求めよ。また原点のかわりに点 (2,−10) をとって、同じ問題を考えよ。
(a) 3x−2y=13 (b) 4x+3y+18=0
解答 問 6 の公式を用いる。t=a2+b2ax0+by0+c、足は (x0−ta, y0−tb)、長さは ∣t∣a2+b2。
(a) 3x−2y−13=0(a=3, b=−2, c=−13, a2+b2=13)
- 原点 (0,0):ax0+by0+c=−13, t=−1。足 (3,−2)、長さ 13。
- 点 (2,−10):ax0+by0+c=13, t=1。足 (−1,−8)、長さ 13。
(b) 4x+3y+18=0(a=4, b=3, c=18, a2+b2=25)
- 原点 (0,0):ax0+by0+c=18, t=2518。足 (−2572, −2554)、長さ 518。
- 点 (2,−10):ax0+by0+c=−4, t=−254。足 (2566, −25238)、長さ 54。
8. 標準形(ヘッセの標準形)
問題 前問の 2 つの直線をそれぞれ標準形で表せ。
解答 ax+by+c=0 を a2+b2 で割り、右辺の p(原点からの距離)が p≥0 となるよう符号を選ぶと、標準形 xcosω+ysinω=p が得られる。
(a) 3x−2y−13=0 を 13 で割って
133x−132y=13 (p=13)
(b) 4x+3y+18=0 を −5 で割って(右辺を正にする)
−54x−53y=518 (p=518)
いずれも p が問 7 で求めた原点からの距離と一致する。